糖尿病

糖尿病専門医として

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糖尿病は無症状のことが多く、しばしば放置されてしまいがちですが、適切な治療を行うことで、健康な人と変わらない生活ができ、健康な人と変わらない健康寿命を確保することが出来ます。病院や健康診断で血糖値が高いと言われた方や、長年糖尿病を持っている方、糖尿病合併症に至ってしまった方、糖尿病薬が必要でない軽症の方から経口薬やインスリン注射が必要な方まで、まずは何でもお気軽にご相談ください。患者さんが気楽にお話しやすいことを心がけながら、糖尿病専門医が責任を持って診療を担当いたします。

糖尿病とは

糖尿病は、インスリンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ等という糖(血糖)が増えてしまう病気です。血糖値が何年間もたかいまま放置されると、血管が傷つき、将来的に合併症、併存症が引き起こされます。

【糖尿病の判断】

以下の4つのいずれかが確認された場合は、糖尿病型と診断されます。

別の日に行った検査で、糖尿病型が再確認できれば糖尿病と診断できます。ただし、初回検査と再検査の少なくとも一方で、必ず血糖値の基準を満たしていることが必要で、HbA1cのみの反復検査では診断できません。血糖値とHbA1cを同時測定し、共に糖尿病型であることが確認されれば、初回検査のみで糖尿病と診断できます。

糖尿病を誘発する原因

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肥満・食べ過ぎ

生活習慣の改善とともに、2kg減量することができれば、2型糖尿病の発症の危険性を減らせます。小児期から18〜24歳までの過体重は糖尿病の発症の危険性が高まります。

運動不足

有酸素運動のみならず、筋力トレーニングをする人は、2型糖尿病になりにくくなります。座ってばかりの人は、糖尿病になりやすいことが報告されています。

ストレス

ストレス反応として、副腎皮質ホルモンやアドレナリンを分泌します。
これらのホルモンはインスリンの働きを妨げ、血糖を上昇させる作用があります。

遺伝的要素

父親、母親から受け継いだ遺伝子の性質によって、血糖を下げるためのホルモンである「インスリン」が遺伝的に分泌しにくい方がいます。

加齢

高齢になるほど体全体の機能が低下し、膵臓の働きも弱くなります。1歳年を取るごとに男性・女性ともに糖尿病になる危険性が2%上昇します。

その他

副腎皮質ホルモンなどの特定の薬の服用が糖尿病を誘発したりする場合があります。

糖尿病の種類

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1型糖尿病と2型糖尿病がありますが、どちらもすい臓に問題があり、インスリンの出が悪いことは同じですが、少し異なっています。

1型糖尿病

膵臓でインスリンを作っているβ細胞が壊されて、インスリンを出す力が弱まったり、インスリンが出なくなったりするのが1型糖尿病です。その進行のスピードによって、“劇症”、“急性発症”、“緩徐進行”に分類されます。

2型糖尿病

最も多いタイプの糖尿病で、一般的に”糖尿病”と表現した場合2型糖尿病を示す事が多いです。遺伝的素因によるインスリン分泌能の低下に、環境的素因としての生活習慣の悪化に伴うインスリン抵抗性が加わり、インスリンの相対的不足に陥った場合に発症する糖尿病です。

その他、遺伝子の異常や、肝臓や膵臓の病気が原因となるものや、妊娠中に発見される妊娠糖尿病があります。

糖尿病の症状

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糖尿病は発見が早いほど病状を悪化させる可能性が低くなるので、糖尿病のわずかな症状を自覚することが大切です。しかし、大部分の人はかなり進行するまでは無症状なので、症状がなくても定期検査を受けることが必要です。以下の症状にあてはまるものがいくつかあれば、糖尿病の可能性があり、一度検査されることをおすすめします。

口が渇く
尿の量・回数が多い
尿のにおいが気になる
視力が落ちる
疲れやすい・体がだるい
体重が急に減少する
足のむくみ
手足のしびれ

糖尿病の三大合併症とは

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糖尿病は単に高血糖の病気と捉えるのは要注意です。早期に適切な治療をしなければ合併症を引き起こし、失明や腎不全などを招き、最悪の場合、命をおとすこともあります。早期発見、早期治療が、合併症を防ぐことにつながります。

網膜症

眼の中にある網膜という部分で起きる細小血管症が糖尿病網膜症です。網膜症が悪くなると、最悪の場合、眼底出血や網膜剥離を伴って失明に至る場合もあります。網膜症を悪くしないためには、主には日頃の血糖コントロールが重要です。その一方で、どんなに血糖コントロールが悪くても、早い段階で網膜症を見つけておけばレーザー治療などで大きな出血を予防できる場合があります。糖尿病の患者さんは、目の見え方などが正常と思っても、1年に1回は眼科受診をするようにしましょう。

神経障害

高血糖が続くと、末梢神経の代謝に異常をきたして不必要な物質が溜まってしまったり、神経に栄養を与える血管が傷ついて血流が低下したりすることで、結果として神経の働きも障害されてしまいます。さらに、神経障害は重篤な病気につながる場合があります。

腎症

腎臓の機能が落ちてくると、早期の段階では無症状ですが、進行するとからだの余分な水分や老廃物を尿としてからだの外に排泄する機能が弱まることで、からだがむくんだり、気分が悪くなったりするなどのさまざまな症状を引きおこします。

糖尿病療養指導

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当院の管理栄養士、看護師による糖尿病療養指導を行っています。インスリン注射や血糖測定方法の説明し、
日常生活での困ったことなどの相談・質問をお受けし、治療意欲を継続するための支援を行います。

血糖自己測定*
インスリン自己注射
低血糖について
日常生活の注意点
生活に関する相談

※血糖自己測定*(糖尿病のもっとも重要な指標、血糖値を測ることで病状を的確に知ることができます)最近は、針を刺さなくても24時間の血糖を2週間測定できます。

糖尿病栄養食事・運動指導

食事療法

食事療法は、すべての2型糖尿病患者さんに必要な基本的な治療法です。食習慣を改善し、血糖値を良好にコントロールすることが目的で、糖尿病の疑いがあると診断されたときから開始します。
『食事療法=カロリー制限』の印象があるかもしれませんが、単に摂取カロリーを制限すればよいというものではなく、必要な栄養素を過不足なく摂取することが原則です。そのため、食品に含まれる栄養素やエネルギー量を知っておくことも大切です。バランスのよい食事を楽しみながら、正しい食習慣を身につけましょう。

運動療法

運動療法は糖尿病治療の基本の1つです。食後の運動により食後高血糖を抑えて血糖コントロールをよくすることや、運動を継続することでインスリンの働きをよくすることが重要な目的です。運動により、筋肉でブドウ糖や脂肪の利用が促進され、血糖値が低下します。さらに、運動を続けると、インスリンの働きがよくなり、血糖コントロールもよくなります。